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東京家庭裁判所 昭和39年(家)3868号 審判 1964年5月29日

申立人 大友マキ(仮名)

主文

申立人の氏を「林」に変更することを許可する。

理由

本件記録並びに当庁調査官小林赫子の調査報告書を綜合すると次の事項が認められる。即ち申立人大友マキ(旧姓林マキ)は、独り娘のタケが昭和一八年八月二○日大友茂と結婚した際、タケが廃家の上「大友」に入籍したので、申立人も親族入籍により「大友」に入籍し「大友マキ」と称するに至つた。そして大友夫婦と同居して扶養をうけてきたが、大友茂が、申立人を扶養することを嫌い、養老院に入れるといい出したことから、申立人を庇う妻タケとの間に溝を生じ、タケは昭和二九年夫と別居し、同三六年裁判により離婚した。離婚によつて、タケは「林」に復し、三人の子も氏の変更により「林」となつたが申立人のみは戸籍上はまだ「大友」を姓として残つている。しかし申立人は林タケとその三人の子とともに申立人の甥である林和男方に同居しており、高齢でもあるので、死亡した場合「大友」のままでは位牌にも「大友」と書かれて祭祀を営む上にも支障を生じるのみならず、将来孫たちの世代には事情も次第に不明となつて却つて姓が違うことで混乱を招くことが推測されるので、この際「林」に変更してこのような混乱を避けたいというのである。

前記認定の事実は、戸籍法第一○七条による氏を変更するについてのやむを得ない事由に該当すると認められる。

よつて主文のとおり審判する。

(家事審判官 吉村弘義)

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